健康コラム
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梨状筋症候群とは? 〜臀部から下肢にかけての鈍い痛みとしびれ〜

今回は、「梨状筋」というおしりの筋肉についてのコラムをお届けします。
痛みやしびれのある方のみならず、ランニングなどの股関節の屈伸運動を頻繁にされる人や、立ち仕事・車の運転など長時間同じ姿勢をとっている人もぜひお読みください。

■カラダの痺れや痛みをチェック
いわゆる「背骨」は、椎骨(ついこつ)と呼ばれる24個の骨が積み木のように重なって脊柱を形成しています。
この椎骨と椎骨の間には椎間板とよばれる軟骨があり、普段はクッションの役割をはたしています。
しかし、老化や激しい運動などで椎間板が外に飛び出してしまい、神経を圧迫し、激しい痛みやしびれを引き起こすことがあります。
このように、腰痛やお尻の痛み、足先に放散する痛み、シビレ、足に力が入らなくなった状態を「腰椎椎間板ヘルニア」と言います。
しかし、腰椎椎間板ヘルニアというわけでもないのに、常に臀部の奥から太ももの裏側にかけて痛みやシビレを感じている人は少なくありません。
そのような場合は、一度、「梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)」を疑う必要があります。

■梨状筋症候群とは
梨状筋(りじょうきん)という筋肉をご存じの方は少ないと思います。梨状筋とは臀部を構成する筋肉の一つで臀部の深部にある筋肉(いわゆるインナーマッスル)です。
実はこの梨状筋と坐骨神経の間には密接な関係があり、梨状筋に問題があるとその同側の坐骨神経に問題があるケースが多く見られます。
梨状筋症候群の症状は先にも述べたとおり臀部から大腿部後面にかけての痛みとシビレですが、特に臀部の奥がビリビリした神経的な痛みが慢性的に続きます。
このような症状から腰椎椎間板ヘルニアと独自に判断する人が多いのですが、特徴は椎間板ヘルニアのように腰部の痛みを伴いませし、痛みやシビレが膝までで、下腿部や足部に及ぶことはありません。

勿論、梨状筋症候群の方がいくら椎間板ヘルニアの治療を行ったとしても一向に改善されることはありません。

そもそもなぜ、梨状筋に問題があると坐骨神経の症状が現れる可能性があるのでしょうか? ここで下図を見ていただきたいと思います。

本来、坐骨神経は梨状筋の下を通っており、梨状筋が坐骨神経を圧迫することは少ないのですがスポーツ選手、特にランニングなどの股関節の屈伸運動を頻繁にされる人や立ち仕事、車の運転など長時間同じ姿勢をとっている人、臀部の筋肉が異常に拘縮している人は梨状筋が坐骨神経を圧迫し坐骨神経痛の症状を引き起こしてしまうことがあります。
また、先天的に梨状筋が坐骨神経を圧迫しやすい方もいます。

急性の梨状筋症候群の処置としては安静にするのが先決ですが、痛みが特にひどい場合は神経ブロックや時には梨状筋を切断し、坐骨神経の圧迫を軽減させる手術が用いられることがあります。しかし慢性的な梨状筋症候群の場合はストレッチを行うことで症状が解消される場合もあります。

■梨状筋拘縮側の筋肉の割り出し方
梨状筋拘縮側の筋肉の割り出し方にはヒブテスト(整形外科的検査法の一種)などがありますが、簡単なチェック方法としては、仰向けになった状態で足先がより外側に向いている足が左右どちらなのかを判断します。(写真1参照)
より足先が外側に向いている側の方が梨状筋をはじめとする臀部の筋肉が硬くなっている可能性があるのでそちら側をストレッチすると効果的です。既に臀部の不快感や坐骨神経痛の症状が出ている方はその症状が出ている側の梨状筋をストレッチすると良いでしょう。
また、カイロプラクティックや整体などで施術をしてもらった際、『脚が短い』と言われた側の臀部が通常拘縮している可能性が高いので、そちら側の臀部をストレッチすると予防にも繋がります。
(写真1)

※ 向かって右側の足先が左に比べ、より外側に向いているので右側の梨状筋が拘縮していると判断できます。

■梨状筋拘縮側のストレッチ方法
@イスに浅く腰掛けた状態で背筋を伸ばし、足首を反対側の膝に乗せます。(拘縮側の臀部)
A肩の力を抜いて、軽く膝の上と足首に手を添え、肘で膝を軽く押さえます。このとき可能であれば乗せた足が地面と水平になると理想的です。(写真2、3参照)
Bこのままゆっくりと背筋を伸ばしたままカラダを前傾します。
(写真2)


(写真3)

このストレッチを痛みのない範囲で、左右20〜30秒を目安に行ってみてください。乗せた足側のお尻の部分が伸びている感じがするはずです。
あまり伸びている感じがしない人は、低いイスもしくは床で試してみてください。
但し決して無理はせず、痛みの感じない範囲で行うようご注意ください。

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