ACL再建手術後の競技復帰は果たして9ヶ月が最適か?最新の研究が示す新たな知見
Is 9 months the sweet spot for male athletes to return to sport after ACL reconstruction?
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これはBritish Journal of Sports Medicine (BJSM)に掲載された「ACL再建後の競技復帰は“9か月”が最適か」を問い直した最新の論文です。
目的:
男性アスリートを対象に、術後の復帰時期(特に9か月基準)と再損傷リスクや復帰成功率の関連を検討すること。
方法:
単一施設(または複数施設のコホート)を用いた観察研究で、リハビリの進行状況や機能評価、復帰判定のプロトコルを踏まえて解析している。研究は「いつ復帰するか」だけでなく「どのように復帰するか(機能基準の遵守)」が重要である点を強調している。
要点:
- 単純な“9か月ルール”は万能ではない:時間だけで復帰を決めるのではなく、客観的な機能評価(筋力比、ジャンプテスト、運動制御など)に基づくことが重要だと示唆されている。
- 適切な評価と段階的リハビリを行えば、9か月未満での復帰が必ずしも再損傷リスクを高めるとは限らないという報告もある(ただし条件付き)。つまり「いつ」より「どのように」が鍵。
- 定期的なテストと進捗モニタリングが再損傷率低下に寄与する可能性が示されている。厳格な評価プロトコルを導入した集団では再断裂率が低下したとの報告がある。
臨床的含意:
- 復帰判断は「時間」+「機能基準」で行う。術後○か月という単一基準ではなく、筋力左右差、片脚ジャンプ、運動制御テスト、心理的準備度など複数の客観指標を組み合わせる。
- 年齢、競技レベル、合併損傷の有無、職業的要求に応じて復帰基準を個別に調整する。若年アスリートや高負荷競技ではより慎重な評価が必要。
- 定期的な機能評価と記録、チーム内でのリハビリ体制の整備及び情報共有(理学療法士、トレーナー、外科医)が再損傷予防に寄与する。
注意点:
対象が男性アスリートに限定されている点:結果を女性や非アスリートにそのまま適用するのは慎重を要する。
- 観察研究のため因果関係の確定は困難:復帰時期と再損傷の関連は交絡因子(リハビリの質、選手の自己申告、競技復帰の強度など)に影響される可能性がある。
出典:
- Kotsifaki R, King E, Bahr R, Whiteley R. Is 9 months the sweet spot for male athletes to return to sport after anterior cruciate ligament reconstruction? British Journal of Sports Medicine. (原著)

